|
さて、年もあけましたし新たな時代に向けてたまには技術解説などを。
こういう話は表ページでやるのが普通なんですが、フレームデザイン、とくに新開発の表情可変ヘッドフレームはあまり明け透けに見せると真似されるので鍵付きのこちらでちょっとだけお見せします。
こちらのページを見ているお方はおそらく少女人形という物に対して並々ならぬご興味をお持ちのお方ばかりだと思います。
であれば、その仕組みやギミックなどのお話ももしかしたらご興味を持って戴けるのではないかと思います。
リアルを追求するためにはたゆまぬ研究と開発、そして新たな技術を取り入れる覚悟とセンスが必要となります。
負けるわけにはいかない。
色々なデザインの試作段階を経て二つのデザインが残りましたが、量産型は5セグメントモデル(可動点5箇所)に決定しました。

顎の2ヶ所は前から採用しているもので、さらに口角部左右2箇所、眉間に1箇所の可動アームプレートを備えたモデルに決めました。
もう一つ比較対象としたフレームは7セグメントの可動点を持つもので上記確定フレームに加え左右の眉毛直下にも可動アームプレートを備えていますが、製造コストの割にさほど大きな効果が無かったので検討の結果5セグメントモデルを生産モデルとしました。

眉の可動は怒りの表情を再現するにはかなりの効果がありましたが、ちょっとムスッとしてる位の表情であればセンタープレートだけで再現できますし、大きな怒りの表情はそもそも需要があまり無い。
価格を抑えるためにもそこまで需要がないのが判っているならばオミットしておく方が利口でしょう。
試作では目尻や唇の上下まで行ける11セグメントモデルとかも造ったんですが、コストが半端無いのと質量過多でとても無理でした。
動きは凄かったですが耐久性に多分難がありそうです。
ユーザーさんの管理下では極力メンテナンスフリーを考えないといけません。
可動部分が多いのは楽しいですが保管時にいちいち全てをニュートラル状態に戻すのははっきり言って面倒臭いと思いますよ。
5セグメント4箇所位にしておくのが正しい判断だと思います。
3つ並んでるやつは右から通常モデル、真ん中が量産品の5セグメントモデル、左が7セグメントモデルです。

ベースサイズは同じですが額部分の作り込みが大変です。
まぁ型を造れば一撃で複数個を作れるようになりますが、これらの試作フレームは全てを後加工で複雑な曲面を造ってますので超たいへん。
また、全方向フリーなフレキシブルチューブを可動素材として使う場合はその自由過ぎる屈曲方向を制限する機構が不可欠です。
これもフレーム側の溝のデザインや、よりダイレクトなワイヤーストッパーを内蔵させたり並列させたり、或いはカウンタースプリングで制御したりの細かい対策が必要です。
ただ動かすだけの仕組みなら誰でもできます。
しかし、人体として解剖学的にあらぬ方向へ曲がったり動いたりする事は極力避けねばなりません。
それは勿論リアリティーを求める上で当然の考え方なのですが、同時に制限する事により耐久性を確保するという重要な理由もあるのです。
機械は物理的に単純な方が信頼性は上がります。
目標点を決めてそれを実現する為に必要な動点、そして機械に置き換えた時に必要な仕組み、それを目標の性能を落とさずに洗練させてよりシンプルに、より堅牢に、と言うように設計を見直していきます。
そして辿り着いたデザインですよ。
更には熱可塑素材を使う以上は樹脂流入時の退縮や耐熱性、流入経路まで視野に入れなければ量産などおぼつきません。
パーツ同士が干渉しないで動かせる様にってのは当たり前ですが、体積変動を計算して造るので勘だけで造ってるわけではないです。
ちゃんと流入経路や退縮比率を計算して造りました。
そのおかげで試作鋳型はすべて一撃で失敗せずに出来てます。
長年の技術蓄積はこういうときにものをいいます。
まぁ頑丈です。
万一人形が転倒しても簡単には壊れませんよ。
見えないところに力を注ぐとセールスポイントとしてお客様にアピールしにくいので辛いですが、こういう処に力を注いで手を抜かないからこそ実現できる世界ってもんがあるのです。
奇跡のような人形を皆様に。
あとまぁオマケの画像を一枚お口直しに。

例の制服でなければ大丈夫ということで。
大丈夫か?
PC担当:綱渡りだな。
|