一年なんてあっという間ですね。
歳取ると時間の流れが速すぎる・・・・
それでは皆様、よいお年を!
PC担当:おい!短か過ぎだろ!
私:なんだよぉ・・・・長きゃ長いで文句言うのにぃ・・・・
よし、じゃあ今日はMBA1108の首のジョイントの話でもしましょう。
首は重量のある頭を支える部分です。
しかし、製造時の皮膚樹脂の流入口でもある首の部分は樹脂の流し込みを阻害しないように十分な開口面積が必要になります。
そこにやたらサイズのでかいパーツは設置出来ません。
いかに小さく強いパーツを造れるかが肝です。
フルメタルで製作するのも手ですが、ボルト結合の為には廻ししろを残したスパンでボルト位置を決めなければナットを回せません。
スパナやレンチが入るすき間を確保しなければならないという事です。
そうすると強度を確保できるФ6mmのボルトでもスペース的に厳しいものがあります。
片側をボルトではなくプラスのネジにすれば良いように思いますが、受け側のナットは結局廻すかレンチで固定するかしなければなりませんのでスパンは変わりませんし、プラスのネジは高トルクには耐えられません。
最悪オープンエンドのレンチで押さえることは不可能ではないですが、何れにしても正確なトルク管理はボルト&ナットじゃなければ無理ですしドライバー用のネジでは危険です。
締結トルクってもんはカンで締めて良いものじゃないのです。
たとえ電動ドリルの簡易トルク設定であっても、素手で感覚だけに頼った締め付け調整よりずっとましです。
それにオープンエンドレンチは仮締めとか非常用、若しくは締める時ではなくトルク管理の要らない外す時に使うものであって、どうしても遊びがでかく進み角の誤差がでかいので、本締めには眼鏡レンチを使いたいところですね。
いや、正直な話、習熟すればモンキーでもいけますけど、やはり正確な作業は基本ですから。
それにその為の道具があるんですからそれを使うのが前提の設計をするのが正解でしょ。
で、今の樹脂と金属の混成パーツになるわけですが、表皮樹脂の進化に伴い今までの構造では問題が出る事が解りました。
これは新デザインの最新式にも当てはまる事です。
より強い皮膚を目指した新たな樹脂は今迄より更に高温で流し込みます。
殆んどのパーツの耐熱性は理論上あと15℃以上は余裕がありますので問題はない筈なんですが、パーツユニットとして見た場合だと首のジョイントパーツは金属素材の割合が多い事と、流入口直下で最も高温状態の樹脂を連続で喰らう場所にあると言う不利な条件にあります。
ご存じのように金属は熱伝導が高く、埋め込まれた内部まで素早く高熱が伝わります。
コレがパーツの内部破壊を呼ぶ一番の原因です。
外側からの熱は徐々に内部に浸透していくので膨脹も外部から起こりそれがもとで破壊に至ることはまずありません。
しかし、パーツの内部から先に来る熱膨脹は素材的に破壊に至りやすいのです。
北斗神拳みたいなもんです。
異種素材間の熱膨脹率の差による変動は耐熱弾性接着剤を咬ませて少量の変形は吸収させてますが急速な熱エネルギーがパーツの内部から浸透した場合は想定外の膨脹をすることになります。
しかも不味いことに、外部からも熱を喰らうので内部からと外側からとの二重の熱負荷になりますね。
つまり内部の境界面では場合によっては2方向からの力が加わる事になります。
幾らパーツ自体を強化してもこれでは熱膨脹破壊の可能性が排除できません。
同じ様に金属と樹脂との混成パーツ構造である背骨や股関節は、流入口より遠くて幾分温度が低下する事と、上下に中空パーツ、つまりエアが抜ける場所に繋がってますので先端が気室内で放熱されますので内部から加熱されっぱなしにはなりませんので耐えられます。
しかし、首パーツは放熱先がなくその場で思いっきり熱負荷に曝されます。
実際にお届けした人形において、首パーツの破断というあってはならないトラブルが発生し、回収して調査したところ内部から外部に向かって亀裂が発生した痕跡を見つけました。
造った全てのパーツがダメになるわけではありませんが、実際に発生した事は重い事実として受け止めなければなりません。
重大度で言えば新幹線の台車に亀裂が発生したレベルのものです。
こういう場合、完全に修理する事は可能ですが、こちらのパーツに不備かあったケースですから潔くまるごと造り直します。
すべてこちらの責任ですから新品をお届けして対応してます。
発生メカニズムを同定するために、同じパーツを3つ最高温度の条件を揃えてそれぞれゆっくり加熱、普通に加熱、急速加熱してみたところ、前2つのパーツは大丈夫でしたが、最後に実験した急速加熱のパーツは212℃で亀裂が入り、破断しました。
ゆっくり加熱した物は素材限界の270℃まで耐えましたが、急速に加熱したコレはやはり通常より5℃高い温度で破壊しました。
これで破壊のメカニズムがはっきりと解りました。
で、抜本的対策として、金属パーツ同士をパーツ内部で接触させる位置に設計を変えて、内部空洞まで貫通している首のフレキシブル管とバネに熱を逃がし分散させる様に設計を変えました。
また、鋳型時に、首のジョイントを保護していたロングナットを更に延長して満水時にも外部に水面上まで突出させてヒートシンクの役目をするものを造って外気で冷却を促進させ、上下に熱を放散させる方式を開発しました。
まぁ中にナトリウムでも封入すれば更に効果は高そうですが、危ないしコスト的にも無理なのでデカい金属のヒートシンクを付けて冷却効率を上げるしか無いですね。ただ、あまりにも重いと首のセンターの設定位置がずれますので程々にしないといけません。
試してみましたが、これにより到達最高温度は変わりませんが、急激な温度上昇を抑制出来るようになり、破断の危険性はほぼなくなりました。
油断はしませんけど。
ついでにパーツそのものも肘や膝に倣い強化リブを設けて、熱変形に対抗し、カーボンクロスをもう一層外部から積層しました。
耐熱性の向上って言ったらやはりカーボンクロスが切り札ですよ。コストがばか高いですけど。
完成済みでこれ以上の物は無いと思っていたパーツであっても樹脂が切り替わり外的条件が変化すればこの様な事が発生してしまいます。
本当に終わりの無い世界ですよ。
PC担当:長過ぎるわ!!
画像は対策後のパーツ。
角部分に手作業で補強リブを盛るのと、金属部までの肉厚が薄い側面部分にカーボンクロスを追加で装甲増加。
この加工に費やす時間は一個辺り2時間ちょっと。
また仕事が増えた・・・・
さて、ギャラリーの方はクリスマス画像が二つです。
※楽屋の方はもう少しあとになります。
やや蒼っぽい冷温な光で撮ってネオンと夜を強調したものと、いつもの姉妹のピザパーティーを録りました。
ああ、勿論撮影後はスタッフが美味しくいただきました。げふっ・・・・・
衣裳担当:幾ら見映えが良いからって最大サイズとか一食で食べきれる訳ないでしょうに!
その後三食ピザとかほんともう勘弁してください!
私:もうピザは見たくない・・・・
PC担当:じゃあカレーなら良いわけだ。よかったぁ。
私:貴様・・・・まさか・・・・
PC担当:買い付けて送っといた♪一月分♪
私:またですか・・・・今年もですか・・・・
衣裳担当:このお姉ちゃんの服、バーバリーじゃないですか!チャイナドレスとかあるんだ・・・・
PC担当:妹の方はメーテルっぽいな。
私:どっちも中古だから安いよ。て言うかだいぶ前に買って忘れてた奴。
ヌードの方は地上波アニメの様に謎の光がまろび出てはいけない場所を隠してますが、お姉ちゃんの方の配列が意図してないのに北斗七星の形に・・・・
PC担当:大丈夫!死兆星は見えないから大丈夫!
衣裳担当:ぜったいわざとです・・・・
PC担当:うぬは今年もカレー地獄を味わうがよい!
私:やかましいわ!!!!
それでは皆様、メリークリスマス!
製造担当:だから遅いってのよ!!
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